日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原著
虚血性大腸炎の臨床的検討
丸山 茂雄八島 一夫池淵 雄一郎澤田 慎太郎磯本 一
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2018 年 115 巻 7 号 p. 643-654

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抄録

虚血性大腸炎(IC)60例の臨床的検討を行った.43例(72%)が5月から10月の時期に発症していた.58例(97%)が夜8時から翌朝の7時までの夕食後比較的短時間に発症し,52例(87%)は,就寝時間帯であった.若年者では,基礎疾患の関与がなく,便秘などの腸管側因子のみが誘因となり軽症例が多いが,高齢者では,基礎疾患に起因する血管側因子に,腸管側因子が複合して重症化する傾向が見られた.内視鏡点数と各臨床因子との相関関係を求めた結果,重症化の要因として,白血球数,年齢,消化器症状が有意な独立因子であった.多くの症例が,比較的湿度の高い時期に発症していることより,湿度も発症の一因になりうると推測した.

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© 2018 (一財) 日本消化器病学会
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