2019 年 116 巻 1 号 p. 28-35
進行肝細胞癌においてソラフェニブの有効性が示されて以降,複数の有望な化合物の開発治験が不成功に終わった.ほぼ10年間の“進行肝細胞癌に対する薬物治療開発の不毛時代”の後,進行肝細胞癌に対する2剤目の有効性を示したチロシンキナーゼ阻害薬がレゴラフェニブである.適正使用の啓蒙により,当初懸念されていた有害事象のマネージメントも難渋することは多くない.進行肝細胞癌において複数のチロシンキナーゼ阻害薬が使用できる“マルチ・チロシンキナーゼ阻害薬時代”が到来したといえる.今後,より適切な症例にレゴラフェニブを使うべく,チロシンキナーゼ阻害薬の選択の根拠となり得るリアルワールドデータが求められている.