日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):過敏性腸症候群の診療―現状と今後の展望―
脳腸相関から見た内臓知覚調節機構の解明
野津 司奥村 利勝
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 116 巻 7 号 p. 552-559

詳細
抄録

過敏性腸症候群(IBS)の主要病態に内臓知覚過敏がある.内臓知覚調節メカニズムを解明し,内臓知覚過敏を改善してIBSの治療を目指すことは合理的である.われわれは,内臓知覚調節のオレキシンを中心とする中枢メカニズムとCRFを中心とする末梢メカニズムに関する研究を継続中である.神経ペプチド オレキシンは中枢神経系に作用して脳内ドパミン,アデノシンやカンナビノイド神経系を介して内臓知覚を鈍麻させること,CRFは末梢組織において,その特異的受容体であるCRF1とCRF2受容体活性化のバランスにより内臓知覚を調節することもわかってきた.オレキシンやCRFとその受容体は新たなIBS治療ターゲットになる.

著者関連情報
© 2019 (一財) 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top