日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
116 巻 , 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
今月のテーマ(総論):過敏性腸症候群の診療―現状と今後の展望―
  • 福土 審
    2019 年 116 巻 7 号 p. 543-551
    発行日: 2019/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル 認証あり

    過敏性腸症候群は,腹痛が便通異常に関連して続く病的状態である.過敏性腸症候群は現在の国際的診断基準のRome IVでは4(便秘,下痢,混合,分類不能)型に分類される.その病態は,脳腸相関を軸に解明が進んでおり,下部消化管運動亢進,内臓知覚過敏,不安・うつ・身体化の心理的異常がしばしば生じる.これらの更なる源流として,ストレス,ゲノム,腸内細菌,粘膜微小炎症,粘膜透過性亢進,脳の局所の形態変化をともなう機能的変容が追求されている.過敏性腸症候群の治療は,病態の理解と食生活・運動を中心とした生活習慣の改善の上に,消化管を標的臓器とする薬物療法,中枢薬理,心理療法という順番で実施することが推奨される.

今月のテーマ(総説):過敏性腸症候群の診療―現状と今後の展望―
  • 野津 司, 奥村 利勝
    2019 年 116 巻 7 号 p. 552-559
    発行日: 2019/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル 認証あり

    過敏性腸症候群(IBS)の主要病態に内臓知覚過敏がある.内臓知覚調節メカニズムを解明し,内臓知覚過敏を改善してIBSの治療を目指すことは合理的である.われわれは,内臓知覚調節のオレキシンを中心とする中枢メカニズムとCRFを中心とする末梢メカニズムに関する研究を継続中である.神経ペプチド オレキシンは中枢神経系に作用して脳内ドパミン,アデノシンやカンナビノイド神経系を介して内臓知覚を鈍麻させること,CRFは末梢組織において,その特異的受容体であるCRF1とCRF2受容体活性化のバランスにより内臓知覚を調節することもわかってきた.オレキシンやCRFとその受容体は新たなIBS治療ターゲットになる.

  • 三島 義之, 石原 俊治
    2019 年 116 巻 7 号 p. 560-569
    発行日: 2019/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル 認証あり

    過敏性腸症候群(IBS)患者の一部には,腸管粘膜局所に顕微鏡的な微弱炎症を有し,腸管免疫の持続的な賦活化を認める.その粘膜持続炎症がIBSの病態に密接に関与していると考えられるが,そこに存在する詳細なメカニズムに不明な点が多い.そこで今回,IBSで腸管粘膜の微弱炎症の持続がなぜおこるのか,粘膜炎症がどのようにして腸管知覚過敏/機能異常を生じるのか,粘膜炎症に対する抗炎症治療がPI-IBS治療となり得るのかに着目し,文献的考察を行った.今後は,新たな粘膜炎症に焦点を当てた検査法,治療法の確立を目指して,現行治療に難渋しているIBS患者へのbreakthroughとなることを期待したい.

  • 正岡 建洋, 金井 隆典
    2019 年 116 巻 7 号 p. 570-575
    発行日: 2019/07/10
    公開日: 2019/07/10
    ジャーナル 認証あり

    過敏性腸症候群(IBS)においてはその病態生理として,精神的ストレスや炎症,腸内細菌叢の構成異常(dysbiosis),消化管形態異常があり,それによって消化管運動異常,内臓知覚過敏が惹起され,その表現型として,下痢や便秘といった便通異常,腹痛という症状を呈していると考えられる.近年,便秘型IBSに対しては新規の薬剤が導入され,腸内細菌を標的とする抗菌薬投与,低FODMAP食や糞便微生物移植といった新規の治療も開発されつつある.今後は,これらの治療法を本邦の現状に即して最適化していくことが必要である.

症例報告
feedback
Top