2019 年 116 巻 9 号 p. 691-696
転移性肝癌の治療は遠隔転移であるがために,治癒させることが困難であることは間違いないが,切除療法により治癒する症例もある.転移性肝癌に対する切除療法は,治癒を目的とする以外にも予後延長効果や症状緩和効果を企図するものもある.治癒を目指す肝切除においても安全性が最優先され,さらには再発に対する再肝切除の可能性を高めるべくできるだけ肝実質を残す部分切除が選択される.その切除成績の全国統計は切除治療を選択されたというバイアスはあるが,切除を検討するうえでは有用な情報であると考える.