日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):機能性消化管障害の新時代
機能性ディスペプシアの経過とオーバーラップ症候群
春日井 邦夫舟木 康小笠原 尚高
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 117 巻 10 号 p. 856-865

詳細
抄録

機能性ディスペプシア(FD)をはじめとした機能性消化管障害(FGIDs)には多くの共通する病態が存在し,症状を主体とする診断のため,症状の移行,消褪,疾患のオーバーラップが認められることが多い.FDは時間の経過により半数以上の症例で軽快あるいは治癒し,一部の症例では他のFGIDsへの移行や,再燃する場合もある.FDと胃食道逆流症(GERD),特に非びらん性GERDとのオーバーラップ率は20~60%と比較的高く,共通の病態として胃酸の関与が考えられている.また,FDと過敏性腸症候群(IBS)のオーバーラップ率もFD患者の30~60%と高くなっている.FDと慢性便秘との関係についての詳細な検討はないが,オーバーラップ率はおおむね10~20%程度と考えられている.

著者関連情報
© 2020 (一財) 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top