2020 年 117 巻 11 号 p. 939-946
潰瘍性大腸炎の長期経過例において,慢性炎症を母地とした大腸癌(CAC)が発症することが知られている.CACを早期に発見するための大腸内視鏡によるサーベイランスは重要であり,その方法については,本邦において無作為比較試験が行われ,狙撃生検による有用性が確認された.色素散布や画像強調内視鏡は病変の検出率を向上させる可能性はあるが,高画質内視鏡においては色素内視鏡やNBIの通常光観察に対する優越性は確認されていない.実臨床では1つのツールに固執する必要はないため,サーベイランスにおいて可能な限り高画質内視鏡を用いて,状況に応じてNBIや色素散布を併用することが重要である.