2020 年 117 巻 5 号 p. 365-374
胃食道逆流症は,食事内容,肥満,就寝時の体位が病態に影響しており,治療における生活習慣改善の有効性が報告されている.食道扁平上皮癌では,アルコールと喫煙の影響が極めて大きく,禁酒,禁煙指導が重要となる.特に現在または過去にビール1杯で顔が赤くなる体質(フラッシャー)は,ALDH2欠損者でありアルコールの代謝が円滑に行われず,高濃度のアセトアルデヒドに長時間曝露されて食道癌になるリスクが著しく高くなるため,より注意が必要である.多くの食道疾患は生活習慣の改善により予防できる可能性があることを念頭に,診療を行うのがよいと考えられる.