日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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今月のテーマ(総説):肝細胞癌における薬物治療の進歩
免疫チェックポイント阻害薬の有効性と安全性
古瀬 純司
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2021 年 118 巻 5 号 p. 400-406

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抄録

切除不能肝細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は,抗PD-1抗体薬ニボルマブとペムブロリズマブの第III相試験がそれぞれ1次治療と2次治療で行われたが,統計学的な有意差が得られなかった.続いてICIベース併用療法の有効性が前臨床試験や早期臨床試験によって示唆され,いくつかの第III相試験が進められている.その中で,抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブ+抗VEGF抗体薬ベバシズマブの有効性が確認され,2020年,適応が承認された.現在,根治治療後の補助療法や肝動脈化学塞栓療法との併用でもICIの臨床試験が行われている.一方,免疫関連有害事象への適切な対応が求められる.

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© 2021 (一財) 日本消化器病学会
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