日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
118 巻 , 5 号
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今月のテーマ(総論):肝細胞癌における薬物治療の進歩
  • 工藤 正俊
    2021 年 118 巻 5 号 p. 379-399
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/05/10
    ジャーナル 認証あり

    切除不能肝細胞癌に対する2009年のソラフェニブの承認以来,一次治療薬としてレンバチニブ,アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法が,そして二次治療薬としてレゴラフェニブ,カボザンチニブ,ラムシルマブの計6レジメンが承認され,現在臨床で使用可能となっている.これらの全身薬物療法は進行肝癌のみならずintermediate stage肝癌の治療パラダイムも大きく変えつつあり,さらには現在進行中の第III相試験である,免疫療法の切除・ablation後のアジュバントやTACE併用において良好な結果が得られれば,肝癌患者の予後はドラスティックに向上するものと期待される.

今月のテーマ(総説):肝細胞癌における薬物治療の進歩
  • 古瀬 純司
    2021 年 118 巻 5 号 p. 400-406
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/05/10
    ジャーナル 認証あり

    切除不能肝細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は,抗PD-1抗体薬ニボルマブとペムブロリズマブの第III相試験がそれぞれ1次治療と2次治療で行われたが,統計学的な有意差が得られなかった.続いてICIベース併用療法の有効性が前臨床試験や早期臨床試験によって示唆され,いくつかの第III相試験が進められている.その中で,抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブ+抗VEGF抗体薬ベバシズマブの有効性が確認され,2020年,適応が承認された.現在,根治治療後の補助療法や肝動脈化学塞栓療法との併用でもICIの臨床試験が行われている.一方,免疫関連有害事象への適切な対応が求められる.

  • 山下 竜也, 荒井 邦明, 金子 周一
    2021 年 118 巻 5 号 p. 407-417
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/05/10
    ジャーナル 認証あり

    Intermediate stage肝細胞癌の治療は肝動脈化学塞栓術(transarterial chemoembolization;TACE)が標準的治療であるが,近年の薬物療法の進歩の影響によりパラダイムシフトがおきつつある.腫瘍条件,肝予備能とも多様な病態を含むIntermediate stageを亜分類することにより,TACEの効果が期待できない症例に薬物療法を考慮する提案や,TACE不応やTACE不適という病態が提唱され,TACEを繰り返し肝予備能が低下する前に,または効果の乏しいTACEを施行する前に,より早い段階で薬物療法を導入するような方向に変化してきている.さらにTACEと分子標的薬の併用療法の効果を示すエビデンスも出てきており,がん免疫療法とTACEの併用療法の開発も行われている.

  • 小笠原 定久, 近藤 孝行, 加藤 直也
    2021 年 118 巻 5 号 p. 418-427
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/05/10
    ジャーナル 認証あり

    進行肝細胞癌に対してアテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法が用いられるようになり,薬物治療のランドスケープが大きく変わろうとしている.今までのほぼすべての進行肝細胞癌の第III相試験は,ソラフェニブが進行肝細胞癌の1次治療であることを前提に試験がデザインされてきた.すなわち,アテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法後の後治療のエビデンスはほぼなく,今後リアルワールドにて作り上げていくこととなる.アテゾリズマブ/ベバシズマブ併用療法が進行肝細胞癌治療の1次治療の主軸になる時代において,2次治療以降を選択する際の一助となるべく,治療選択肢となる薬剤の特徴と現在までに得られている知見について述べる.

  • 柴田 龍弘
    2021 年 118 巻 5 号 p. 428-436
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/05/10
    ジャーナル 認証あり

    肝癌は,本邦をはじめとした東アジアで多い癌の1つである.大規模かつ包括的なゲノム解読によって肝癌はTERT+TP53+WNT経路異常をコアドライバーとして,キナーゼ経路異常やクロマチン制御分子などのエピゲノム関連異常が加わるといった分子遺伝学的特徴を有することが明らかとなった.コアドライバーは早期肝癌においてすでに異常がおこっており,腫瘍内多様性や再発病変ではあまり変化しない.また分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤に対する治療反応性と関連するゲノム異常も明らかにされ,liquid biopsyによる早期診断やドライバー異常による治療層別化など,肝癌のゲノム医療が進むことが期待される.

原著
  • 出島 彰宏, 吉田 尚弘, 宮島 沙織, 宇都宮 まなみ, 川崎 梓, 木藤 陽介, 中西 宏佳, 辻 国広, 松永 和大, 辻 重継, 竹 ...
    2021 年 118 巻 5 号 p. 437-444
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/05/10
    ジャーナル 認証あり

    2008年1月から2017年7月に大腸憩室出血で初回入院となった98例を対象に,その後の大腸憩室出血による再入院のリスクを調査した.期間中の大腸憩室出血による入院回数が1回目の群(1回群),2回目の群(2回群),3回目以上の群(3回以上群)に分けると,1年後再入院率は1回群11.6%,2回群23.2%,3回以上群34.2%,2年後再入院率は1回群15.1%,2回群50.1%,3回以上群62.4%と,入院回数が増えるごとに再入院率は高くなった.また,再入院なし群と再入院あり群に分け背景因子と治療因子を検討したところ,入院時のショックバイタル(オッズ比14.1)が独立した危険因子であった.

  • 世古口 悟, 那須 隆紀, 水田 昇, 廣瀬 瞳, 池田 佳奈美, 濱田 聖子, 堀田 祐馬, 山田 展久, 磯崎 豊, 長尾 泰孝, 小山 ...
    2021 年 118 巻 5 号 p. 445-454
    発行日: 2021/05/10
    公開日: 2021/05/10
    ジャーナル 認証あり

    小児科診療所79施設を対象に,小児へのB型肝炎(HB)ワクチン任意接種に関するアンケート調査を行った.任意接種実施率は65.2%,望ましい接種対象者は「全乳幼児」84.8%,勧め方は「患者希望時のみ」80.0%,「積極的に勧めている」20.0%,今後勧めたいかは「患者側から希望があれば」71.7%,実施していない理由は「任意接種のため勧めにくい」38.9%であった.要望は「定期接種対象範囲の拡大」60.9%,「啓発活動,情報提供をして欲しい」54.3%であった.任意接種を勧めにくい状況が示唆され,医療関係者および保護者に対して,必要性に関する情報提供や広報活動を積極的に行う必要がある.

症例報告
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