日本消化器病学会雑誌
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今月のテーマ(総説):脂肪肝診療
NASH/NAFLDの病理診断
辻川 華子
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2021 年 118 巻 9 号 p. 815-822

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抄録

NASHの確定診断には,組織学的診断が必要とされる.脂肪変性の量的評価,炎症の程度や有無,ballooningやMallory-Denk体の有無,NASHに特徴的な線維化かどうかが組織学的評価のポイントとなる.BallooningやMallory-Denk体の評価に関しては,施設・評価者間差が否めないが,少なくとも典型像は評価すべきと思われる.また腫瘍内でも脂肪性肝炎類似の像を呈する肝細胞癌が知られ,アルコールやメタボリックシンドロームとの関連が示唆される.NASH/NAFLDの正確な組織学的評価には,臨床経過や既往歴・検査結果などの臨床情報が不可欠であり,評価者と主治医との密な連携が望まれる.

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© 2021 (一財) 日本消化器病学会
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