2022 年 119 巻 1 号 p. 9-13
アルコール関連肝疾患は,脂肪肝からアルコール性肝癌まで多彩である.アルコールの摂取量により皆が同様の経過をたどるわけではなく,その進展にはさまざまな遺伝子,環境因子や他の疾患の合併など多くの因子が影響している.近年,アルコール関連肝疾患の病態に関して新たな因子が解明されてきており,腸内環境の変化,全身の免疫の異常や蛋白分解系の異常などが指摘され,ますます病態が複雑な疾患であることがわかってきた.治療に関して最も重要なものは断酒だが,ハームリダクションという概念から新しい薬物を利用する治療法も生まれてきている.