2022 年 119 巻 1 号 p. 14-22
アルコール関連肝疾患は慢性的な過剰飲酒によって生じ,脂肪肝炎をはじめとして急性肝不全,肝硬変,肝がんなど多彩な病型を呈する.本邦におけるアルコール飲料の総消費量は緩やかな減少傾向だが,アルコール関連肝疾患の患者は必ずしも減少しておらず,女性の飲酒や飲酒層の二極化,肥満人口の増加がアルコール関連肝疾患の増加に寄与していると考えられる.アルコールおよび代謝産物のアセトアルデヒドの細胞毒性,および腸管由来の病原体関連分子パターン(PAMPs)の経門脈的な肝への流入により,肝障害を生じる.さらにアルコール摂取はNASHの他,B型,C型肝炎ウイルス感染者の予後に影響することにも留意すべきである.