新型コロナウイルス感染症(COVID-19)171例の肝障害について,呼吸不全の有無で層別化して検討した.さらにデキサメタゾン(Dex)単独療法を施行した41例の中等症II症例を対象として,投与前の肝障害の有無で層別化して検討した.171例の検討で,呼吸不全群では肝障害が64%と多く,呼吸不全群の独立危険因子は,高齢,男性,生活習慣病の合併,入院時LDH高値であった.Dex投与前肝障害群では肥満の合併が多く,肝臓CT値が有意に低下していた.Dex投与後の肝障害は,投与前の肝障害の有無で有意な差はなく軽度であった.Dex単独療法は肝障害出現の多いCOVID-19中等症IIに安全な治療法であった.