2022 年 119 巻 7 号 p. 600-609
上部消化管領域においても,人工知能(artificial intelligence;AI)の臨床応用は内視鏡診断を中心に増加傾向にある.食道,胃,十二指腸の各臓器で,AIによる病変の指摘,質的診断(良悪性の鑑別),量的診断(範囲・深達度診断)などが報告され,いずれも高い精度である.当初は静止画での検討であったが,動画での検証へ進み,さらにAIと医師との比較,AIの使用の有無による医師間の成績の比較が行われ,中国では大規模なランダム化比較試験も行われている.現在は,研究から臨床導入のフェーズに入ってきており,今後どのようにAIが臨床現場で使われ,医療が変化していくかが注目されている.医師がAIの利点と欠点を理解して使用すれば,AIは医師のよいサポートツールとなるであろう.