直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の登場により,C型肝炎症例のほとんどでウイルス排除が可能となった.これにともない,治療対象の概念も大きく変化し,ウイルス排除により予後が改善できない状態を除き,すべてのC型肝炎ウイルス感染者に対して治療を行うことが推奨されている.通常の慢性肝炎や代償性肝硬変における治療薬の選択はシンプルになったが,特殊な病態においては治療ガイドラインに従い最適な治療法を選択する必要がある.ウイルス排除により,慢性進行性の病態はある程度まで可逆的であるが,ウイルス排除後も病態が改善しない,あるいは進行する場合もあるため,個々の症例においてウイルス排除後の病態を適切に把握することが必要である.