日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
今月のテーマ(総説):機能性消化管疾患―過敏性腸症候群と慢性便秘症診療の最前線
実地診療における慢性便秘症の病態と診断
中島 淳
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2023 年 120 巻 3 号 p. 231-238

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抄録

本邦ガイドラインで機能性便秘症は,結腸通過時間および直腸肛門機能検査に基づいて結腸通過時間正常型(normal transit constipation),結腸通過時間遅延型(slow transit constipation),便排出障害(outlet obstruction)に分類される.しかし,本邦における実地診療では結腸通過時間の測定などが実施困難なことが多く問題が多い.本稿では特別な検査機器を用いなくても診断ができる方法について概説を行った.また最近では高齢化社会を背景に直腸の糞便塞栓が問題になってきており,その診断に直腸エコーが活用されるようになってきた.実地診療では結腸通過時間や直腸肛門機能検査を簡単に行うことはできないが,治療方針策定のためには排便回数や便性状スケールを用いたり,直腸指診,さらには直腸エコーを用いてある程度診断できるようになってきた.

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© 2023 (一財) 日本消化器病学会
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