2003 年 100 巻 10 号 p. 1187-1197
アルコール過飲によって生ずる肝疾患は, 自らの意思でその発生を予防し得る点で他の肝疾患とは異質のものである. 最近, 生活習慣病なる概念が広く導入されてきているが, アルコール性肝疾患も現在その範疇に分類されようとしている.
本稿では, まず最近のトピックスとしてアルコール性肝疾患の現状を全国調査の結果に基づいて述べたが, 特にアルコール性肝疾患における肝炎ウイルス感染の状況および最近増加しつつある重症型アルコール性肝炎の現状を, 10年前の全国調査の結果と対比検討した. さらに, 最近のもう一つのトピックスであるNASHの病態形成機序をアルコール性脂肪性肝炎(ASH)のそれと対比しつつ論じた.