2003 年 100 巻 6 号 p. 707-712
症例は56歳女性, child-Pughスコア12点のc型肝硬変. 内科的治療にもかかわらず連日1~2Lの胸水排液を必要とした難治性肝性胸水を経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TlPS)により治療した. TIPS後に肺水腫,短絡路狭窄を合併したものの, 術後2カ月で肝性胸水は完全消失した. 患者は術後18カ月間胸水の再発はなく, Child-Pughスコアは6点まで改善している. 難治性肝性胸水に対する各種治療法を含め文献的考察を加え報告した.