日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
急性膵炎の発生と膵管上皮の変化特に protective barrier について
水本 龍二倉塚 均吉良 勝正本庄 一夫
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1971 年 68 巻 1 号 p. 27-36

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抄録

家兎の膵管上皮には, これを被う alcian blue 陽性, alcian blue-P.A.S. で菫色に染まる被覆層があり, また, 同様の染色態度を示す胚細胞が上皮配列間に介在している.
家兎膵管内に低圧で, 小量の胆汁やトリプシンを注入しても, これらの膵管上皮被覆層や胚細胞には変化がみられず, 膵実質の変化もきわめて軽微であるが, これらに β-glucuronidase を併用すると激しい膵炎を発生する. 胆汁と β-glucuronidase の併用による膵炎は膵管上皮の破綻と関係があり, トリプシンと β-glucuronidaseの併用による膵炎では膵管の変化は軽度であるが, 膵は充血が強く, 実質障害も著しい. phospholipaseA を注入すると膵管上皮, 膵実質の両者に変化が認められる.

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