日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
膵と耳下腺の連関性に関する実験的研究
第4報 急性膵炎の耳下腺に及ぼす影響について, -とくに耳下腺唾液の重炭酸塩の動向を中心に-(犬使用実験)
柿崎 五郎能登 陞藤原 慶之加藤 栄一大泉 哲之助添野 武彦斉藤 隆之
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キーワード: 実験膵炎, 耳下腺, 重炭酸塩
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1972 年 69 巻 4 号 p. 349-358

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抄録

犬において実験的に急性膵炎を惹起させ, その前後における耳下腺の組織変化および耳下腺唾液の性状を比較検討してみた.その結果, 膵炎発生時には, 耳下腺は組織学的に変性を示し, 耳下腺唾液は, その分泌開始時間も遅延し, また, 分泌量および最高重炭酸塩濃度ともに低下することが判明した.なお, 最高重炭酸塩濃度の著明な低下には, 膵炎発生後ある一定の時間経過を要することが推察された.
以上の結果から, 急性膵炎の診断に, 耳下腺唾液の重炭酸塩濃度の変動を利用しうる可能性があることを強調した.

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