十二指腸憩室に関する臨床的研究は古くよりなされているが, その頻度, 臨床的な集計に関して問題点が多い.著者は教室過去5年間の上部消化管レ線検査対象を中心に十二指腸憩室の頻度, 臨床的な集計を行ない, 同時に本邦人129例の系統解剖を行ない, 十二指腸憩室の合併頻度, 部位, 組織像について検討を加えた.
十二指腸憩室はレ線的に7.0%の高頻度に認め, 男女差はなく, 若年者においても, 4.2%に認めた.憩室の大きさは加令と共に増大するが, 憩室特有の症状は便秘をのぞくと認められない.十二指腸憩室のなかには, Intraluminal Duodenal Diverticulaや, 先天的な, 異常を合併する例があることを指摘した.本邦人屍体解剖例では31.8%の高頻度に憩室を認め, 年令による差はなく, 憩室の多くはparapapillary diverticulaであつた.
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