1973 年 70 巻 1 号 p. 20-35
慢性膵炎に於ける膵管造影の診断的意義を解明する目的で新鮮剖検膵を用いて検討を行なつた. 慢性膵炎に於いては膵管上皮の増殖や扁平上皮化生等が高率に出現した. 造影上, 主膵管壁の不整硬化や拡張, 狭窄, 数珠状変化を来たす症例の膵管上皮は上皮の増殖や化生を認める場合が多く, 造影像と膵管上皮の変化が密接に関係している事がわかつた. 慢性膵炎では主膵管の壁不整硬化像は88%と高率に認め, 壁不整硬化を伴う拡張, 狭窄等も高率に出現した. 一次分枝に於いても分枝数の減少や, 小嚢胞状拡張, 数珠状拡張等の種々の型の拡張は慢性膵炎に高率に出現した.