日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
実験的胃潰瘍に関する研究
胃粘膜微小循環の変化について
川合 秀男
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 70 巻 3 号 p. 208-226

詳細
抄録

ラットに各種の ulcerogenic factors を負荷し, 潰瘍形成迄の胃粘膜微小循環の変化を表面及び側面より観察した. 1. Serotonin 投与群では胃体部大弯側の集合細静脈が粘膜中層から深層部にて収縮し, 二次的に表層部毛細血管は拡張して, 出血•ビラン•潰瘍形成へと進む. 2. Reserpine 投与群では A)全く Serotonin 投与群と同じ経過をたどるものと, B) 投与後4時間より胃液の作用の加わるものとが観察される. 3. 塩酸胃内潅流群では潅流開始後15分で表層性の強い血管の拡張が見られ, この部位より出血•ビラン•潰 瘍形成が観察される. 4. Gastrin 投与群では胃液分泌亢進による二次的な反応として血管に変化が現われ, 潰瘍を形成する. 5. 拘束群では胃体部前後壁に動脈性毛細血管の強い収縮と, その末梢部の毛細血管の拡張が認められ, その部位より出血•ビラン•潰瘍形成が見られる.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top