日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
70 巻, 3 号
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  • 第1編 無鉤条虫症の臨床的研究
    木原 彊, 辻 宰, 小林 良一, 岡崎 悟, 小坂 淳夫
    1973 年 70 巻 3 号 p. 175-188
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    過去16年間に亘つて50例の無鉤条症症例について, 臨床的立場から, 感染者に関する一般的事項, 臨床所見, 臨床検査成績, 小腸レ線像, 宿主と無鉤条虫の生物学的関係を中心に研究した. 感染者は昭和35年から5年間に最も多く認められ, 現在でも散発的に認められる. 虫体節排出をのぞく自覚症状は, 無自覚なもの48%, 他は消化器症状が主なもので, 腹痛16%, 肛門部不快感, 掻痒感10%などが認められた. レ線的には小腸運動昂進所見が認められ条虫症の臍部を中心とする鈍痛の原因と考えられた. 末梢血液好酸球数は従来の記載と異なり, 条虫感染後4カ月以内の症例に増加を認めた. 無鉤条虫の頭部の位置は従来, 不明であつたが, 24例中6例に頭部をレ線的に証明し, その主な位置は十二指腸空腸曲より3乃至5cm肛門側にあることを明らかにした.
  • 第2編 広節裂頭条虫症の疫学的並びに臨床的研究
    木原 彊, 小林 良一, 小坂 淳夫
    1973 年 70 巻 3 号 p. 189-195
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    中国地方では, 従来, 広節裂頭条虫症の報告がみられなかつたが, 昭和35年に岡山県吉井川流域で感染した2症例を認め, 以来, 昭和46年までに14症例を経験した. これらの症例について疫学的並びに臨床的立場から, 感染者に関する一般的事項, 臨床所見, 臨床検査成績, 宿主と広節裂頭条虫の生物学的関係について研究した. 感染者14例のうち9例は中国地方での感染の明らかなものであつた. 虫体排出をのぞく自覚症状は, 便通異常などの軽度の消化器症状のほかは稀であつた.
    末梢血液像については1例, 軽度の高色素性貧血を認めたのみであつた. 条虫寄生による好酸球増多は認められなかつた. 感染者の検討から, 広節裂頭条虫は感染後, 20日ですでに多数の卵を産出するものと考えられた.
  • 第3編 大型条虫症 (無鉤条虫症, 広節裂頭条虫症) の治療に関する研究
    木原 彊, 小林 良一, 辻 宰, 岡崎 悟, 小坂 淳夫
    1973 年 70 巻 3 号 p. 196-207
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    16年間に亘つて, 大型条虫症 (無鉤条虫症50例) (広節裂頭条虫症13例) 63例の治療を, 治療を行なつた年代において, 最も有効で, 副作用の少ないと思われる薬剤, 方法を用いて実施し, その結果を検討した. 駆虫効果のすぐれた, 副作用の少ない薬剤として♦ Niclosamide を第一に選ぶことが出来, その駆虫効果は95%であつた. Damaso de Rivas の原法は, 動物実験の結果から, 宿主の十二指腸粘膜に対する障害が考えられ, 生理的食塩水の十二指腸内温度を42°Cにする変法を行ない, 100%の駆虫率を得た. 成人の合併症のない大型条虫症では治療として, Damaso de Rivas の変法がすぐれた駆虫方法として選ぶことが出来ると結論した. 無鉤条虫, 広節裂頭条虫の駆虫は, 薬剤の種類, 投与方法, 投与後の患者のとりあつかいなどを考慮することにより困難なものでないと結論した.
  • 胃粘膜微小循環の変化について
    川合 秀男
    1973 年 70 巻 3 号 p. 208-226
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラットに各種の ulcerogenic factors を負荷し, 潰瘍形成迄の胃粘膜微小循環の変化を表面及び側面より観察した. 1. Serotonin 投与群では胃体部大弯側の集合細静脈が粘膜中層から深層部にて収縮し, 二次的に表層部毛細血管は拡張して, 出血•ビラン•潰瘍形成へと進む. 2. Reserpine 投与群では A)全く Serotonin 投与群と同じ経過をたどるものと, B) 投与後4時間より胃液の作用の加わるものとが観察される. 3. 塩酸胃内潅流群では潅流開始後15分で表層性の強い血管の拡張が見られ, この部位より出血•ビラン•潰 瘍形成が観察される. 4. Gastrin 投与群では胃液分泌亢進による二次的な反応として血管に変化が現われ, 潰瘍を形成する. 5. 拘束群では胃体部前後壁に動脈性毛細血管の強い収縮と, その末梢部の毛細血管の拡張が認められ, その部位より出血•ビラン•潰瘍形成が見られる.
  • 龍 美弥子, 岡崎 睦也, 岩崎 政明, 本田 利男
    1973 年 70 巻 3 号 p. 227-231
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 浪久 利彦, 南部 勝司, 今 哲二, 馬原 敬二
    1973 年 70 巻 3 号 p. 232-242
    発行日: 1973年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    排泄性胆のう胆道造影の造影能は, 投与された造影剤が肝を経て胆道に排泄されることから, 肝機能によつて左右されることは当然であり, 肝の造影剤排泄を異物排泄とみるならば, その排泄様式は色素排泄試験と同じ機序とみることが出来る. 50% iodipamide 40mlを60分間で点滴静注した症例で, 胆のう胆道造影陰性例についてICG試験の成績を検討すると, 色素の血液から肝へのとり込みが障害されている群と, 肝から胆汁への排泄が障害されている群とがあり, 前者は主として肝実質障害例であり, 後者は主として肝外性胆汁うつ滞例であつた. この成績から, iodipamide の肝最大排泄能を考慮して, 点滴静注法 (DIC) の造影剤量と点滴時間を変えて4種類の方法を設定し, ICG試験の結果にもとずいて適当なDICを行なうと, 造影率の向上することがみられた. さらに, 131I-iodipamide を用い iodipamide の体内分布と排泄様式を観察すると, DICによる iodipamide の胆道排泄は, 一回静注法に比較して著明に増加しており, 特に肝障害あるいは胆汁うつ滞のある場合には胆道排泄の増加が明らかであつた. DICの副作用としては, 投与 iodipamide 量を増加すると, 特に肝細胞障害例において, 一過性にトランスアミナーゼの上昇することがみられた.
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