日本消化器病学会雑誌
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排泄性胆のう胆道造影に影響をおよぼす肝性因子について
浪久 利彦南部 勝司今 哲二馬原 敬二
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1973 年 70 巻 3 号 p. 232-242

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抄録

排泄性胆のう胆道造影の造影能は, 投与された造影剤が肝を経て胆道に排泄されることから, 肝機能によつて左右されることは当然であり, 肝の造影剤排泄を異物排泄とみるならば, その排泄様式は色素排泄試験と同じ機序とみることが出来る. 50% iodipamide 40mlを60分間で点滴静注した症例で, 胆のう胆道造影陰性例についてICG試験の成績を検討すると, 色素の血液から肝へのとり込みが障害されている群と, 肝から胆汁への排泄が障害されている群とがあり, 前者は主として肝実質障害例であり, 後者は主として肝外性胆汁うつ滞例であつた. この成績から, iodipamide の肝最大排泄能を考慮して, 点滴静注法 (DIC) の造影剤量と点滴時間を変えて4種類の方法を設定し, ICG試験の結果にもとずいて適当なDICを行なうと, 造影率の向上することがみられた. さらに, 131I-iodipamide を用い iodipamide の体内分布と排泄様式を観察すると, DICによる iodipamide の胆道排泄は, 一回静注法に比較して著明に増加しており, 特に肝障害あるいは胆汁うつ滞のある場合には胆道排泄の増加が明らかであつた. DICの副作用としては, 投与 iodipamide 量を増加すると, 特に肝細胞障害例において, 一過性にトランスアミナーゼの上昇することがみられた.

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