日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
わが国における家族性大腸ポリブ症の現況
全国調査 (1961•1972) の集計
宇都宮 譲二岩間 毅夫市川 敏郎馬来 忠道宮永 忠彦浜口 栄祐小松 一太外村 晶平山 雄
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1973 年 70 巻 7 号 p. 707-726

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抄録

家族性 (びまん性) 大腸ポリープ症に関し1961年及び1972年の2回にわたる全国調査資料に自験例を加えて159家系198例について臨床的, 遺伝学的並びに疫学的に分析を試みその現況を報告した.
大腸癌の発生頻度は20才以下ですでに29%に達し放置すれば全例が癌化すると推定された.
今日までに家系内積極性が証明された家系の頻度は49%であるが調査の進行と共に増加する傾向にある. 異なる施設より報告された症例が同一家系に属すること (家系の融合現象) も観察された. 遺伝形式は常染色体性優性遺伝と推定されるデーターが得られた.
これらの結果にもとづき, 保因可能者 (要検査者) を同定した. そして, 本症の病因論に関する研究並びに癌高危険度群対策のモデルケースとして, 本症の広域的かつ長期的登録制度の必要性を強調した.

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