日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Amylase Isoenzyme の臨床的研究
大槻 真佐伯 進尤 芳才神田 勤前田 光雄長谷川 満馬場 茂明
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1975 年 72 巻 10 号 p. 1282-1290

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抄録

ポリアクリルアミドゲルを支持体とした簡易薄層電気泳動により血清 amylase を isoenzyme に分離した. 正常ヒトでは4~6つの isoenzyme を認め, すべてが唾液あるいは膵 amylase isoenzyme と易動度が一致していた. 唾液腺と膵の急性炎症時ならびに機能低下状態における amylase isoenzyme の変化より Amy SE-1, 2, 4, 6, 8は膵型, Amy SE-3'5, 7は唾液腺型とした. Amy SE-4, 6, 8は正常人ではほとんど認められなかつたが, 血清 amylase 活性上昇とともに出現した. しかしながら各疾患の重症度との相関はなかつた. 正常血清では Amy SE-1と Amy SE-3に主な amylase 活性を認め, 全体としては Amy SE-1の方が活性が大きかつた. 術後の高 amylase 血症では, 膵型 isoenzyme のみの活性が上昇するもの, 唾液腺型のみの上昇するもの, 両者とも上昇するものがあつた. 慢性膵炎では血清総 amylase 活性低下と, Amy SE-1の著明な低下があつた.

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