日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
閉塞性黄疸肝の形態計測的研究
山内 英生小山 研二松尾 靖司柏村 征一高木 靖武藤 功大和田 康夫音羽 剛大内 清昭姉崎 巧伊藤 賢司
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1975 年 72 巻 4 号 p. 392-406

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抄録

ラットの総胆管を結紮, 切離し, 経週的に7週群まで肝生検を行ない, 光顕, 電顕標本を作成した. 形態計測的に, 肝細胞容積比, 平均核断面積, 核•細胞質容積比, 核分裂指数,推定肝実質重量, 糸粒体容積比, 大きさ, 数, ライソゾーム出現数の推定を行なつた.
閉塞持続期間に一致して, 次第に肝細胞容積比は減少するが, 核分裂指数, 核容積, 推定肝実質重量からみると, 肝の再生によつて, この容積比の減少は補なわれている. 糸粒体は, 黄疸群で一般に膨化し, cristae の curling がみられ, 経週的にその数と容積比の増加が認められる. 再生肝との比較検討から, このような糸粒体の態度は機能低下を補う代償的適応現象と考えられた. 小胞体は一般に拡張し, しばしば滑面小胞体の増生がみられた. ライソゾームは, 閉塞群では持続期間に伴つて次第に増加するが6~7週群では下降しはじめる傾向がみられた.

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