腸上皮化生を有する原発性萎縮性胃炎患者38例を対象として内視鏡観察下に幽門洞に中鎖中性脂肪, グルコース, グルクロン酸第一鉄の水溶液を散布し10~15分後に同部位より生検し組織化学的に前記物質の腸上皮化生組織内への取り込みについて検討した. 前記物質はそれぞれ小皮縁や細胞質内に取り込まれる事が明きらかとなつたが, 吸収上皮に酷似しているにもかかわらず吸収の見られない細胞も多く, たとえ吸収がみられても, その程度は細胞ごとに著しく異なつており, 酵素活性と同様に吸収能についても腸上皮化生細胞の多様性が推定された. 特に従来, 組織学的には困難であつた糖吸収の証明が組織化学的方法により可能であることが明きらかとなつた.