消化性潰瘍の成因並びに治療に関する基礎的検討を加える為に, 実験的に成犬を用いて, 胃体部並びに幽門部の粘膜血流を, 交叉熱電対法にて測定し, 同時に胃内PH, 血清 gastrin 値の測定を行つて, 比較検討した.
迷走神経の刺激及び切離による影響は, 胃体部の粘膜血流に, 幽門部のそれより強く表われた. tetragastrin, histalog, insulin, 2-Deoxy-D-glucose (2DG), secretin 等投与による影響をみると, それぞれ, 胃体部と幽門部では, その血流の変動様態が異つていた. 又, 胃体部粘膜血流と胃内PHは, 常に密接な相関関係をもつて変化するが, 幽門部粘膜血流と血清 gastrin 値の変化には, 相関関係はなかつた.
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