日本消化器病学会雑誌
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エタノールのコレステロール代謝, とくにコレステロール生合成, 異化および胆汁酸の排泄について
中村 治雄石川 昌子
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1975 年 72 巻 9 号 p. 1069-1074

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抄録

エタノールをマウスに投与すると肝コレステロール, とくにエステルコレステロールが著しく増加するのでこの機序を解明するために行つた. 肝コレステロールの生合成はエタノールの注射投与では減少したが, 経口投与では増加した. エタノール投与動物肝ミトコンドリアによるコレステロール-26-14Cの酸化は減少しエタノール投与動物にコレステロール-4-14C投与による糞便中への総胆汁酸-14Cの排泄, およびコール酸-24-14Cまたはヘノデオキシコール酸-24-14C投与による糞便中へのコール酸またはヘノデオキシコール酸排泄が減少した. またコレステロール-4-14Cによる小腸からの吸収には変化なかつた. これらのことからエタノールによる肝コレステロールの増加は胆汁酸生合成の抑制および胆汁酸の排泄の減少によると思われる.

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