日本消化器病学会雑誌
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胃潰瘍治癒過程における再生上皮の走査電子顕微鏡による観察
藤堂 彰男三宅 健夫洲崎 剛大石 雅己酒井 正彦
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1976 年 73 巻 10 号 p. 1197-1206

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抄録

胃潰瘍治癒過程3症例の再生上皮の走査電子顕微鏡的観察を行つた. Ul-II 小潰瘍では, 潰瘍辺縁の粘膜上皮の先端が急激に低く先細りして細胞索が束状となり隣接せるものと融合して潰瘍底を被つている. これらの細胞索は潰瘍中心部に向う. Ul-III 症例では辺縁再生柵状構造の先端が急激に細くペン先状となり, その裾野より潰瘍底を敷きつめる一層の平担な細胞集団が認められる. 時にこれらの細胞は, 念珠状の配列をとり, 並行して並び二股に分岐するものもある. そのmicrovilli は太短かく不規則である. Ul-IV難治性潰瘍例では, 潰瘍辺縁は柵状あるいは, 横断する溝で分断された角ばつた初期の敷石状構造をとる場所や, 丸味を帯びた成熟型敷石状構造をとる場所が認められた.

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