日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
潰瘍性大腸炎の免疫学的背景に関する研究
I. 液性免疫からのアプローチ
山口 希田中 多恵子林 恭平加藤 三郎多田 正大宮岡 孝幸川井 啓市
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 73 巻 12 号 p. 1575-1582

詳細
抄録

活動性潰瘍性大腸炎患者15名の血清および唾液の免疫学的分析を行ない次のような結果を得た.
1) 血清IgGおよびIgAの平均値は健康人対照に比較して著減していたがIgM値は正常域にあつた. 2) 補体成分C3値が正常域にあつたのに対し, C4は著増していた. 3) 同種血球凝集素価は低下していた. 4) 種々異常抗体が検出され, いづれも健康人対照に比較して高率であつた. リウマチ因子13%, 抗IgG抗体13%, 抗IgA抗体60%, 抗ミルク抗体33%, 抗大腸抗体33%の陽性率であつた. 5) 唾液免疫グロブリン値の測定では対照群と有意差は認めなかつた.
本症に認められたミルクなどの食餌性蛋白に対する抗体の出現は局所免疫機構の破綻かあることを示しており本症発症の重要な鍵となつているものと思われる.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top