1976 年 73 巻 9 号 p. 1037-1044
ヒト末梢血リンパ球を材料として, 潰瘍性大腸炎の治療剤である salicylazosulphapyridine (SASP) の影響を51Cr標識細胞障害試験を用いて調べ, 次の結果を得た. 1. マウスL細胞を標的細胞とする phytohemagglutinin (PHA) 刺激リンパ球の標的細胞障害に対してSASPの抑制作用が認められた. 2. この抑制作用の程度はリンパ球の viability と関連がみられた. 3. SASP前処置リンパ球はPHA刺激により対照と同程度の幼若化をみとめた. 4. ヒトリンパ球, 赤血球, Chang 細胞及びマウスL細胞を標的細胞としてSASPの細胞障害性を調べた結果, 他の細胞に比しリンパ球が最も感受性が大であつた. 以上よりSASPは生体の細胞性免疫に対してなんらかの抑制作用をもつことが示唆された.