1977 年 74 巻 11 号 p. 1473-1483
胃被覆粘液層をazure Aを用いて一定の条件下にinvivoで染色し, 内視鏡下に観察する方法を考案し, 健常若年者ならびに易治性慢性胃潰瘍患者を対象に, 188回の染色像を検討した.幽門腺領域は青紫色に染色され, 胃底腺境界近傍部および前幽門輸部は染色の低下を認めた.胃底腺領域は幽門腺領域に比し染色は弱く, 腺境界を認めた.胃潰瘍活動期初期8例中5例は潰瘍周辺部を含む胃内腔の大部分に染色の低下を認めた.胃潰瘍治癒期には潰瘍周辺部を含む幽門腺領域の染色は増強し, 同瘢痕期40例中8例に瘢痕周辺に乏染色領域を認め, 1例に同部からの再発をみた.本法による局所粘液層の可視化は潰瘍の成因の解明や予後予測に有用と考えられる.