日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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74 巻, 11 号
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  • 黒田 博之, 山口 毅一, 北見 啓之, 田村 公平, 浪久 利彦, 橋本 英明, 兼高 達貳
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1463-1472
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    リンパ球刺激試験により起因薬剤を明らかにし得た遅延型過敏性反応による薬剤性肝障害85症例, 109標本について肝組織像を観察し, 純胆汁うつ滞型, 胆汁うつ滞性肝炎型, 肝壊死型, 急性肝炎型, 非特異性反応性肝炎型, 慢性肝炎型, 肉芽腫性肝炎型の7型に分類した.これらの症例では胆汁うつ滞像を主とするものより肝炎像を主とするものが多かつた.しかし遅延型過敏性反応による薬剤性肝障害として特異な所見はみられなかつた.2回以上組織学的検索をなしえた19症例, 43標本での経過観察では, 上記7型の間に移行することがみられたが, 多くの症例は非特異性反応性肝炎型を, 一部は慢性肝炎型を経て改善することが認められた.
  • 健常若年者ならびに易治性慢性胃潰瘍患者の被覆粘液層の検討
    平松 紘一
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1473-1483
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    胃被覆粘液層をazure Aを用いて一定の条件下にinvivoで染色し, 内視鏡下に観察する方法を考案し, 健常若年者ならびに易治性慢性胃潰瘍患者を対象に, 188回の染色像を検討した.幽門腺領域は青紫色に染色され, 胃底腺境界近傍部および前幽門輸部は染色の低下を認めた.胃底腺領域は幽門腺領域に比し染色は弱く, 腺境界を認めた.胃潰瘍活動期初期8例中5例は潰瘍周辺部を含む胃内腔の大部分に染色の低下を認めた.胃潰瘍治癒期には潰瘍周辺部を含む幽門腺領域の染色は増強し, 同瘢痕期40例中8例に瘢痕周辺に乏染色領域を認め, 1例に同部からの再発をみた.本法による局所粘液層の可視化は潰瘍の成因の解明や予後予測に有用と考えられる.
  • 特にその成り立ちについての考察
    竹内 忠之
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1484-1494
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    手術例から見出した線状潰瘍及び類似病変を病理組織学的に検討し, その成り立ちについて考察した.先づ円形潰瘍と線状潰瘍の中間形である横長型潰瘍と, 短い線状潰瘍が2コの潰瘍病変の接合により成立する例を示した.また線状潰瘍に複数の深部を有する例のあることから, 線状潰瘍が複数の潰瘍から構成され得ることを証明した.次に線状瘢痕上にみられるopen潰瘍を病期的に分類し, このopen潰瘍が線状瘢痕より, 時期的に新しいものであり, これが治癒瘢痕化することにより, 線状潰瘍の延長或は小変短縮を増強させ, この繰り返しにより線状潰瘍が進展すると推論した.尚, 線状瘢痕上における若千上下方向に偏位した再発についても検討した.
  • 高田 平
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1495-1506
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    本研究は幽門洞に発生したヒトの胃潰瘍とネコの実験的胃潰瘍とを蛍光組織化学的及び組織化学的に比較検討し, 特に生体モノアミンの血管系に及ぼす影響について研究を行つた.実験的胃潰瘍ではコントロール例に比しAcetylcholine esterase (Ach-E) 活性及びGastrin cells (G-cells) は不変, Enterochromaffin cells (EC-cells).及びAdrenergic fibers (Ad-fibers) の蛍光の著減, ヒト胃潰瘍ではAch-E活性は不変, EC-cells, G-cells及びAd-fibersの減少, Paneth cells (腸上皮化生) の出現が見られた.粘膜内, 粘膜下層の血管では, Vasoconstriction及びVasodelatationが見られ, その結果としてのStasisやTrombosisが見られた.これらの血管の変化はSerotonin (5-HT) Catecholamine (CA), 及びHistamineにより起るものと考えられ, 本実験の結果から, 実験的胃潰瘍及びヒトの胃潰瘍を通して, 主要因は生体モノアミンによる血管系の変化であると考える.
  • 船山 瑛
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1507-1517
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ラットにANIT, LCA, CDCAを投与し, それぞれについて肝microsomal cyt.P-450および胆汁酸分画の変化を, 肝障害との関連下に比較検討した.ANIT急性投与では, 血清中にCDCAが著増し, β-MCAは軽度の増加にすぎないことから, 6β-hydroxylation systemの障害がうかがわれ, この増加したCDCAのdetergentactionにより肝障害は増強すると思われる.またこの処理のためCyt.P-450は消費され減少する.慢性投与では肝障害の進行とともに持続的なCyt.P-450の低下が見られる.LCA, CDCA慢性投与では, 2-3週後に肝障害が最も強く, 同時にCyt.P-450も低下するが, 誘導によるCyt.P-450の回復とともに肝障害は軽減する.ANITとLCA, CDCA慢性投与の肝病変の進行差の原因の1つにCyt-P-450の回復の差が考えられる.
  • 1970年より1974年までの全国調査から
    滝野 辰郎, 高橋 示人, 奥野 忠雄
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1518-1528
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    体質性黄疸の全国集計を実施した。対象は1970-1974年の各施設の経験例であり, 総数294例であつた.病型別ではD-J症候群121例, Rotor型37例, G病135例, crigler-Najjar症候群1例であつた.D-J症候群, G病では男性優位であり, Rotor型では性差はみられなかつた.Rotor型の発症年齢は10歳までの症例が半数近くあり, 遺伝関係も56.8%と最も高率であつた.D-J症候群, G病の発症年齢のピークは各々11-20歳, 21-30歳であつた.血清総ビリルビンの中間値の平均はRotor型, D-J症候群, G病の順に高く, Rotor型では4.75±0.23mg/dlを示した.BSP, ICGの異常程度はRotor型で最も高度であつた.D-J症候群におけるBSP再上昇現象はgo.9%にみられた.胆のうの造影率はD-J症候群で最も低かつた.肝内色素顆粒は, D-J症候群で96.3%に存在した.Phenobarbital, Bucolomeによる血清ビリルビン低下は, G病の80%以上の症例で観察された.
  • 渡辺 明治
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1529-1538
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素 (CCI4), エチオニン, D-ガラクトサミソなどの肝毒物をラットに投与すると, 4日目の血清α-Fetopnotein (AFP) 濃度は惹起された肝障害に関連して著るしく増加し, 障害肝でのAFP合成の増加を直接反映した.肝細胞壊死やDNA合成の増加を伴わないエチオニン肝障害で血清AFP値が著増し, 肝障害を惹起させずに肝DNA合成を亢進させる少量のチオアセタミド投与で血清AFP濃度の上昇はみられなかつた.さらに, 肝障害と肝部分切除後のAFP産生機序に質的相違が認められたことから, 肝障害時のAFP産生増加は肝DNA合成と直接的な関連がなく, 肝障害と密接に共範したAFP合成機構の賦活化によることが示唆された.またCCI4, やエチオニン肝障害による血清AFP値の上昇はプレドニゾロンの投与で抑制され, 肝におけるAFPの合成調節因子の存在を示す結果をえた.
  • アイソザイム分画法の検討と肝疾患への応用
    亀井 幸子, 大久保 昭行, 森 茂子, 笹岡 純代, 岩崎 泰彦, 河野 信博
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1539-1546
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    免疫吸収法による血清GOTアイソザイム分画法を臨床検査に用いるにあたつて, 基本的な諸問題点について検討を加えた.この分画法の再現性, 添加回収試験, 分離能試験の結果は良好であつた.ミトコンドリア由来のGOT (GOT-m) は4℃ 保存で約5日間, -23℃ で1.6ヵ月以上安定であつた.
    健常者43名の血清中のGOT-mは3.4±1.8K.U.(m±2SD) であつた.
    130名の肝疾患々者のGOT.m活性値とGOT-m/SGOTの百分率を測定して疾患との関連性を調べた.これら2つの値は肝細胞障害のよい指標となり, 両者の経日的測定は肝障害の重篤度および短期的予後に関して有力な情報を提供するものと思われる.
  • 25症例の成因別病態差と膵の機能と形態の解離を中心として
    富士 匡, 河村 奨, 清水 道彦, 森戸 正俊, 中村 克衛, 竹本 忠良, 阿美古 秀美, 岩武 忠昭, 原田 善雄, 久保 勝彦, 松 ...
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1547-1554
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎の病態の解明とその診断法の改善は膵疾患における最大の課題である.
    われわれの経験した25症例の膵石症をアルコール群, 非アルコール群の2つの成因別にわけて, 臨床症状, 既往歴, 合併症, 膵石症の大きさと分布等の病態を検討したところ両群間に若干の差異がみとめられ, 膵石の生成過程の差異がみとめられた.
    診断面では内視鏡的膵管造影 (以下ERPと略す) は膵石の大きさ, 分布によく相関したが, PSテストでは数例の機能正常者がみとめられた.この機能と形態の解離現象は膵炎が軽度であることが第1の原因となつているようであつた.
    治療面では現在のところ, 外科療法が内科的療法より好結果を得ている.
  • 松井 征雄, 青木 行俊, 石川 治, 和田 昭, 建石 竜平, 三好 勝彦
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1555-1560
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 山本 晋一郎, 内藤 紘彦, 山下 佐知子, 大橋 勝彦, 平野 寛
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1561-1566
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    The patient was a 44 year-old female who was given an oral contraceptive (Anovlar) because of myoma of uterus. After taking approximately 50 tablets, itching of skin and jaundice appeared. Jaundice persisted more than half a year and rxanthoma, positive antimitochondrial antibody and elevated IgM were noted. Liver biopsy revealed periportal fibrosis, cholestasis and atypical proliferation of bile ductules, but failed to show chronic nonsuppurative destructive cholangitis (CNSDC). Electron microscopy of the biopsied liver specimens showed diminished microvilli and bleb formation in the dilated bile canaliculi. Cholesterol cyrstals were also noted in the cytoplasm. Although lymphocyte blast formation test by anovlar was negative, this case suggests the close relation between drug-induced cholestasis and primary biliary cirrhosis.
  • 甲状腺癌を伴えるものと, 腸間膜fibromatosis併存例の2例
    原田 正夫, 村上 哲之, 宍戸 善郎, 羽田 隆吉, 伊藤 誠司, 今 充, 堀米 孝尚, 藤田 孟
    1977 年 74 巻 11 号 p. 1567-1574
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    大腸ポリポーシスには, しぼしば種々の腫瘍性病変を随伴することがあるので, 本疾患は全身性多発性腫瘍性疾患の一つとも考えられている.
    教室における本疾患初回手術20例についての随伴病変をそのつど発表してきたが, この度, 甲状腺癌を伴つた1例と, 腸間膜線維腫症を伴つた1例を経験したので報告する.
    症例1は22歳の女性.家族性大腸ポリポーシスのため予防的結腸全摘・直腸上部切除, 回腸直腸吻合 (逆ρ吻合) を施行した.随伴病変としてはまれな甲状腺乳頭腺癌のほかに, 骨腫, 軟部腫瘤胃ポリポーシスなどが認められた.
    症例2は31歳の女性.家族性大腸ポリポーシスに併発せる多発性進行癌のため, 大腸全摘, 回腸痩造設術を受けた症例で, 1年後, 腸間膜の腫瘤摘出術を施行され, その病理組織学的検査にて良性線維腫症と診断された.同時に合併切除を余儀なくされた小腸には, 数個のポリープと異所性膵組織からなる粘膜下腫瘍か認められた.
  • 1977 年 74 巻 11 号 p. 1575-1591
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 11 号 p. 1592-1601
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 11 号 p. 1602-1628
    発行日: 1977/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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