大腸ポリポーシスには, しぼしば種々の腫瘍性病変を随伴することがあるので, 本疾患は全身性多発性腫瘍性疾患の一つとも考えられている.
教室における本疾患初回手術20例についての随伴病変をそのつど発表してきたが, この度, 甲状腺癌を伴つた1例と, 腸間膜線維腫症を伴つた1例を経験したので報告する.
症例1は22歳の女性.家族性大腸ポリポーシスのため予防的結腸全摘・直腸上部切除, 回腸直腸吻合 (逆ρ吻合) を施行した.随伴病変としてはまれな甲状腺乳頭腺癌のほかに, 骨腫, 軟部腫瘤胃ポリポーシスなどが認められた.
症例2は31歳の女性.家族性大腸ポリポーシスに併発せる多発性進行癌のため, 大腸全摘, 回腸痩造設術を受けた症例で, 1年後, 腸間膜の腫瘤摘出術を施行され, その病理組織学的検査にて良性線維腫症と診断された.同時に合併切除を余儀なくされた小腸には, 数個のポリープと異所性膵組織からなる粘膜下腫瘍か認められた.
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