日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胆汁酸代謝異常による肝障害の研究
船山 瑛
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 74 巻 11 号 p. 1507-1517

詳細
抄録

ラットにANIT, LCA, CDCAを投与し, それぞれについて肝microsomal cyt.P-450および胆汁酸分画の変化を, 肝障害との関連下に比較検討した.ANIT急性投与では, 血清中にCDCAが著増し, β-MCAは軽度の増加にすぎないことから, 6β-hydroxylation systemの障害がうかがわれ, この増加したCDCAのdetergentactionにより肝障害は増強すると思われる.またこの処理のためCyt.P-450は消費され減少する.慢性投与では肝障害の進行とともに持続的なCyt.P-450の低下が見られる.LCA, CDCA慢性投与では, 2-3週後に肝障害が最も強く, 同時にCyt.P-450も低下するが, 誘導によるCyt.P-450の回復とともに肝障害は軽減する.ANITとLCA, CDCA慢性投与の肝病変の進行差の原因の1つにCyt-P-450の回復の差が考えられる.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top