日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
胃癌細胞内にAFPの局在ならびにReganisoenzymeを証明しえた進行胃癌の2症例
野田 健一沖田 極重田 幸二郎小田原 満飯田 洋三竹本 忠良山時 脩石上 浩一松原 宏
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1977 年 74 巻 2 号 p. 197-205

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抄録

胃癌組織におけるα-Fetoprotein (AFP) の産生機構を明らかにする目的で, 肝転移が認められなかつたAFP産生胃癌2例について考察した. 症例はBorrmann I型低分化腺癌をふくむ多発胃癌例とBorrmann III型中分化型管状腺癌例である。血清AFP値はそれぞれ2, 380, 54,000ng/mlであつた. 胃癌組織には血中よりも高濃度のAFPが存在し, 蛍光抗体法により, 管状構造を示す腺癌細胞の細胞質にAFPが局在することが証明された. また, 胃癌組織に胎盤AlkalinephosphataseであるRegan isoenzymeが検出された. さらに, AFP産生胃癌において胃液内にもAFPが分泌される可能性があることを指摘した.

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