1977 年 74 巻 5 号 p. 548-556
薬剤アレルギー性肝内胆汁うつ滞症の発生機序を免疫学的に解明するため, 本症患者末梢血リンパ球を, in vitroで起因薬剤およびcarrier蛋白とともに48時間培養し, その培養上清液を犬の腸間膜静脈に注入して, 48時間後の肝臓組織像を検索した.その際, 薬剤carrierとしては, 肝特異抗原分画または肝ミクロゾーム分画をラット肝より調製して使用した.その結果, 犬に実験的急性肝内胆汁うつ滞像を誘導することに成功した.このことは, 薬剤アレルギー性肝炎患者の感作リンパ球が起因薬剤の刺激によつて一定のlymphokinesを形成遊離し, その中に胆汁うつ滞型の肝障害を誘導する因子が含まれている可能性を示唆する.