1978 年 75 巻 2 号 p. 150-160
直視下胃粘膜pH測定法の臨床的意義解明のため, 正常ならびに萎縮性胃炎, 計30例を対象として胃内12点の胃粘膜pHを測定し, 同部位よりの生検所見ならびに胃管法による胃液分泌機能との対比を行つた. 正常例の胃粘膜pHは4.0を境として幽門腺領域で高く, 胃底腺領域で低かつた. 萎縮例の胃粘膜pHは胃底腺領域で胃粘膜萎縮の進行とともに上昇し, 高度例では7.0前後の値を示した. 胃角部や胃体部の胃粘膜pHは胃液分泌機能 (PAC, MAO, BAO) と負相関を示した. 小弯線上の胃粘膜pHの分布により分類した著者による胃粘膜pHパターン分類I, II型の胃液分泌機能はほぼ等しく, III, VI型となるにつれて胃液分泌機能は階段的低下を示した.