急性CCl
4肝障害ウサギにCCl
4投与後24時間目に5%グルコース, 10%マルトース, および生理食塩水をそれぞれ静脈内に投与した3群のウサギにつき, CCl
4投与前, 投与後24時間, および48時間のそれぞれの血清の各種肝機能検査と48時間目の肝内諸酵素活性および中性脂肪, 蛋白, グリコーゲン量の測定を行ない, 肝の組織学的所見と併せ検討した. その結果, 肝障害惹起後の糖質投与ではCCl
4投与48時間後の肝障害の程度を指標とした場合, 上記3群の間に本質的な差異はみられなかつた. また, 経静脈的に投与したマルトースは腸組織で一部グルコースに変換されて門脈から肝に入り, 肝組織でも僅かのグルコースを生成して代謝されることが明らかとなつた. 以上の結果から, 血管内に投与されたマルトースが既存の肝障害を増悪させる可能性の少ないことが結論された.
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