日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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75 巻, 2 号
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  • 房本 英之
    1978 年 75 巻 2 号 p. 139-149
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    重症頭部外傷患者63例及び熱傷患者22例, 計85例に内視鏡検査を施行し, 急性上部消化管病変 (acute gastroduodenal lesion, AGDL) を62例 (72.9%) に診断した. 発生頻度は手術例や剖検例による従来の報告 (10~30%) に比べ, 非常に高頻度であつた. 重度外傷に伴う病変の基本型は出血性胃炎であり, 受傷後2日以内の早期に出現し, ほとんどが胃体部にみられた. これに反し急性胃潰瘍は受傷後8日以後に多く, 多発性であるのが特徴的であり, 敗血症の関与が強く示唆された. 初発症状は65.9%が吐下血であり, 腹痛を訴えた症例は3.2%にすぎず, 無症状患者が27.4%にみられ, 慢性消化性潰瘍や精神的ストレス, 薬剤などによる急性上部消化管病変の症状とは著しい相違を示し, 予後も不良であつた.
  • 特に萎縮性胃炎について
    鳥巣 隆資
    1978 年 75 巻 2 号 p. 150-160
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    直視下胃粘膜pH測定法の臨床的意義解明のため, 正常ならびに萎縮性胃炎, 計30例を対象として胃内12点の胃粘膜pHを測定し, 同部位よりの生検所見ならびに胃管法による胃液分泌機能との対比を行つた. 正常例の胃粘膜pHは4.0を境として幽門腺領域で高く, 胃底腺領域で低かつた. 萎縮例の胃粘膜pHは胃底腺領域で胃粘膜萎縮の進行とともに上昇し, 高度例では7.0前後の値を示した. 胃角部や胃体部の胃粘膜pHは胃液分泌機能 (PAC, MAO, BAO) と負相関を示した. 小弯線上の胃粘膜pHの分布により分類した著者による胃粘膜pHパターン分類I, II型の胃液分泌機能はほぼ等しく, III, VI型となるにつれて胃液分泌機能は階段的低下を示した.
  • 友田 恒典, 金田 宣雄, 陰山 克
    1978 年 75 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    免疫抑制剤及び各種抗癌剤投与時の糞便中の腸内細菌の変動を実験動物及び二, 三の悪性腫瘍患者について検した. 糞便中の腸内細菌は好気的及び嫌気的に分離し同定, 定量を行つた. Steroid 剤投与により E. coli, Bacteroides Veillonella の著明な増加を認めた. 又, Steroid 剤投与中止により2~3週間後には元の腸内細菌叢に戻る傾向を認めた. 抗癌剤では6-Mercaptopurine, 5-Fluorouracil, Azathiopurine によつても, かなりの増加を認めた. Cyclophosphamide, Busulfan, Mitomycin Cではあまり変化はなかつた.
    これらの薬剤投与により常住腸内細菌叢に変化を来たし, Amine 産生菌の増加, その他の二次的病態をきたすことを明らかにした.
  • 植田 昌敏, 武田 和久, 三宅 周, 小林 道男, 渡辺 誠, 青江 肇, 野崎 肇, 遠藤 浩
    1978 年 75 巻 2 号 p. 166-173
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    急性CCl4肝障害ウサギにCCl4投与後24時間目に5%グルコース, 10%マルトース, および生理食塩水をそれぞれ静脈内に投与した3群のウサギにつき, CCl4投与前, 投与後24時間, および48時間のそれぞれの血清の各種肝機能検査と48時間目の肝内諸酵素活性および中性脂肪, 蛋白, グリコーゲン量の測定を行ない, 肝の組織学的所見と併せ検討した. その結果, 肝障害惹起後の糖質投与ではCCl4投与48時間後の肝障害の程度を指標とした場合, 上記3群の間に本質的な差異はみられなかつた. また, 経静脈的に投与したマルトースは腸組織で一部グルコースに変換されて門脈から肝に入り, 肝組織でも僅かのグルコースを生成して代謝されることが明らかとなつた. 以上の結果から, 血管内に投与されたマルトースが既存の肝障害を増悪させる可能性の少ないことが結論された.
  • 新谷 寿久, 野々村 昭孝, 太田 五六
    1978 年 75 巻 2 号 p. 174-179
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性活動性肝炎の肝細胞崩壊の機序の一端を解明する目的で, 標的肝細胞は Coon ラット肝細胞株を, リンパ球は慢性活動性肝炎患者末梢血から分離し, microcytotoxicity assay 法を用い以下の成績をえた. 1) 慢性活動性肝炎患者 non E-RFCには7例中全例に肝細胞障害能がみられた. 2) これらのリンパ球肝細胞障害能は aggregated IgG, anti IgG-Fc を培地に加えることによつて低下した (p<0.001). 3) リンパ球をEA-RFC, EAC-RFCに分離し, 肝細胞障害能をみると, 健常者に比してEA-RFCに肝細胞障害能 (p<0.01) がみられた. 以上のことにより, efflctor cell は Fc receptor を有し, その肝細胞崩壊の機序は antibody dependent cell-mediated cytotoxicity であると思われる.
  • 浪久 利彦, 黒田 博之, 南部 勝司, 田村 公平
    1978 年 75 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    薬剤過敏性肝障害で胆汁うつ滞性肝炎を呈した3症例6標本について経時的に毛細胆管周囲および微絨毛内5nm microfilament の消長について電顕的観察を行つた. 毛細胆管周囲の microfilament は発黄後23日の標本で拡張した毛細胆管周囲に伸展した状態でみられたが, その増加は明らかでなく, 発黄後53日と58日の標本では拡張した毛細胆管周囲に伸展した状態で明らかな増加を示し, 発黄後98日と111日の標本では減少していた. 発黄後約100日における毛細胆管の微絨毛では浮腫状を呈した部の microfilament に配列の乱れを認めた. 以上の観察から, 肝細胞内5nm microfilament の増加は胆汁うつ滞の持続により次第に増加し, 胆汁うつ滞の改善により減少するものと考えられる.
  • 永田 虔二
    1978 年 75 巻 2 号 p. 187-197
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ICGと血清蛋白ならびに肝上清蛋白との結合状態をゲル濾過法により検討した. 血清蛋白との結合ではICGが低濃度の場合は主として高分子の蛋白と結合し, 高濃度の場合は低分子の蛋白と結合する量が相対的に増加した. 肝疾患患者の血清蛋白とICGの結合パターンを正常対照者のそれと比較すると, 急性肝炎, 慢性肝炎および肝硬変のIII峰で有意 (p<0.05) に大きく, さらに慢性肝炎のII峰は有意 (p<0.05) に小さかつた. 次に肝上清蛋白との結合では, 臨床的負荷量により近い低濃度ではY蛋白との結合が最も大きく, Y蛋白の役割が重要であると考えられた. さらに in vitro におけるモデル実験の結果からICG高度停滞症例の血清蛋白との結合の異常には否定的な結果を得た.
  • 南部 勝司, 小林 教雄, 山城 雄二, 及川 洋子, 浪久 利彦
    1978 年 75 巻 2 号 p. 198-204
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    昭和44年1月から昭和50年12月までにICG試験を施行した2,105例についてアンケート方式による調査を行ない, ICG試験と肝疾患の予後との関係を検討した. 肝疾患で5年以内に死亡した群と5年以上生存した群ではICG値に有意の差がみられた. 肝硬変で1年以内死亡群のICG値は, 1年以上生存•5年以内死亡群のそれに比較して有意に異常であり, 血漿消失率0.05以下, 15分停滞率50%以上の患者の大部分は消化管出血によつて1年以内に死亡するであろうと予測できた. また, 肝硬変を血漿消失率0.05以上の群と以下の群に分けて検討した累積生存率では, この両群の間に有意の差がみられた. 慢性肝炎, 肝硬変および胆石症では, 初回ICG値と患者の予後との間に相関があつたが, 急性肝炎では相関がみられなかつた.
  • 中村 雍志, 高橋 渉, 鈴木 範美
    1978 年 75 巻 2 号 p. 205-215
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ビリルビン石灰石の連続切片を作製し, 切片を各種試験液に浸漬してその溶解•崩壊効果を検討した.
    ビリルビン石灰石切片は, エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム (EDTA•4 Na) 溶液に浸漬すると容易に脱色され溶液は黄染した. この溶解した切片中の物質は430-440nmに吸収極大を示すビリルビンのNa塩であつた. EDTA•4 Na溶液による切片溶解作用は, 溶液の濃度, pHおよび温度条件により影響された. 他のキレート剤には溶解効果を認めなかつた. また, 胆汁酸塩およびヘパリンは単独ではほとんど溶解効果を認めなかつたが, EDTA•4 Naとウルソデオキシコール酸ナトリウムおよびヘパリンの二者ないし三者を併用した場合は溶解効果が増強し, とくに三者併用時が極めて著明であつた. なお, EDTA•4 Na溶液で処理した切片は, ビリルビンカルシウム粒子が溶出し, 網目状の有機高分子物質の残存が証明された.
  • 神谷 夏吉
    1978 年 75 巻 2 号 p. 216-223
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    イヌを用いセクレチン持続注入 (4CHRu/kg-hr) 下で血漿DMO濃度を連続的に増加させて膵DMO排泄を観察し, 次の結果を得た. 1) 実験期間中, 膵液量, 重炭酸塩濃度および膵液pHはほぼ一定であつた. 膵液pHは8.35±0.005 (M±SE), 大腿動脈血液pHは7.39±0.013 (M±SE) であつた. 2) 血漿DMO濃度は9.6~46.2mg/100mlまで増加し, 膵液DMO濃度は血漿DMO濃度と正の相関を示した. 3) 膵液と血漿のDMO濃度比は一定であり, 2.2±0.04 (M±SE) であつた. この値はpH分配仮説に基づく理論値の約4分の1であつた. 膵からのDMO排泄は単純拡散によつて説明しうる. 実験値と理論値の差の原因として, DMOの速やかな膵管内拡散に対する各種の形態学的障壁の存在, および膵液中の解離型DMOが一部再吸収される可能性が考えられる.
  • 各癌関連胎児性蛋白の臓器由来について
    沖田 極, 野田 健一, 早川 幹夫, 児玉 隆浩, 武波 俊彦, 福本 陽平, 藤井 良子, 河原 清博, 伊達 敏明, 岡崎 幸紀, 西 ...
    1978 年 75 巻 2 号 p. 224-231
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    血中において, α-fetoprotein, variant alkaline phosphatase, ならびにCEAの陽性出現をみた, 肝転移を有する胃癌症例を経験し, その各々の癌関連胎児性蛋白の産生場所について, 免疫学また, 生化学的手法をもちいて検討した. そして, 本症例においては, 肝転移巣周辺の変性壊死過程にあると考えられる肝細胞にα-fetoprotein 産生能を証明した. variant alkaline phosphatase やCEAについては, 血液成分の混入により, 著者らの方法では明らかに出来なかつた. しかしながら, 組織抽出液中の alkaline phosphatase の検討から, 本例は variant alkaline phosphatase と胎児小腸性 alkaline phosphatase の共存例であることも判明した.
  • 小林 絢三, 荒川 哲男, 鎌田 悌輔, 北野 厚生, 由井 三郎, 奥野 匡宥, 曽和 融生, 川島 正好
    1978 年 75 巻 2 号 p. 232-238
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 渡辺 省三, 清水 克英, 長山 正四郎, 篠崎 弘一, 佐藤 英司, 稲垣 威彦, 井上 恭一, 佐々木 博, 市田 文弘
    1978 年 75 巻 2 号 p. 239-245
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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