日本消化器病学会雑誌
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薬剤過敏性胆汁うっ滞性肝炎の肝細胞内microfilaments について
浪久 利彦黒田 博之南部 勝司田村 公平
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1978 年 75 巻 2 号 p. 180-186

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抄録

薬剤過敏性肝障害で胆汁うつ滞性肝炎を呈した3症例6標本について経時的に毛細胆管周囲および微絨毛内5nm microfilament の消長について電顕的観察を行つた. 毛細胆管周囲の microfilament は発黄後23日の標本で拡張した毛細胆管周囲に伸展した状態でみられたが, その増加は明らかでなく, 発黄後53日と58日の標本では拡張した毛細胆管周囲に伸展した状態で明らかな増加を示し, 発黄後98日と111日の標本では減少していた. 発黄後約100日における毛細胆管の微絨毛では浮腫状を呈した部の microfilament に配列の乱れを認めた. 以上の観察から, 肝細胞内5nm microfilament の増加は胆汁うつ滞の持続により次第に増加し, 胆汁うつ滞の改善により減少するものと考えられる.

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