1978 年 75 巻 2 号 p. 216-223
イヌを用いセクレチン持続注入 (4CHRu/kg-hr) 下で血漿DMO濃度を連続的に増加させて膵DMO排泄を観察し, 次の結果を得た. 1) 実験期間中, 膵液量, 重炭酸塩濃度および膵液pHはほぼ一定であつた. 膵液pHは8.35±0.005 (M±SE), 大腿動脈血液pHは7.39±0.013 (M±SE) であつた. 2) 血漿DMO濃度は9.6~46.2mg/100mlまで増加し, 膵液DMO濃度は血漿DMO濃度と正の相関を示した. 3) 膵液と血漿のDMO濃度比は一定であり, 2.2±0.04 (M±SE) であつた. この値はpH分配仮説に基づく理論値の約4分の1であつた. 膵からのDMO排泄は単純拡散によつて説明しうる. 実験値と理論値の差の原因として, DMOの速やかな膵管内拡散に対する各種の形態学的障壁の存在, および膵液中の解離型DMOが一部再吸収される可能性が考えられる.