1978 年 75 巻 5 号 p. 621-627
骨髄腫や原発性マクログロブリン血症にみられるM蛋白は B cell 腫瘍由来の単クローン性免疫グロブリンである. M蛋白はそのほかに癌, 炎症性疾患, ときには健常人血清中にもしばしば検出される. M蛋白と骨髄の plasmocytosis が癌患者において観察されることは稀なことではなく Isobe らは806例のM蛋白血症を分析し128例に non-reticular neoplasm の合併を認めており, その筆頭はS状結腸直腸癌が, ついで前立腺癌, 乳癌が占めていたと報告している. 著者らはM蛋白と癌の合併51例のうち胃癌16例を経験したので組織学的分析の十分な胃癌例についてM蛋白成立の背景に関する考察を, 癌周辺にみられる局所免疫反応の立場から述べた.