日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
継代培養人肝癌細胞を標的細胞とした肝細胞癌患者における Cytotoxicity Assay
第2報 健常人および慢性肝疾患患者の有する Spontaneous Lymphocyte Mediated Cytotoxicity
森実 敏夫渡辺 哲土本 寛二宗像 良雄織田 正也土屋 雅春大塚 秋二郎
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1978 年 75 巻 8 号 p. 1182-1189

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抄録

慢性肝炎, 肝硬変症, 肝細胞癌患者において末梢血リンパ球の細胞障害性を microcytotoxicity assayにより検索した. HeLa 細胞に対する細胞障害性は慢性肝炎, 肝硬変症で有意に低下していたが肝細胞癌患者では健常者と有意差を示さなかつた. Hepatoma cell line (LiC-1 大塚) に対する細胞障害性は肝硬変症, 肝細胞癌で低下の傾向があつたが有意ではなかつた. いずれの標的細胞に対しても non T cell 分画が細胞障害性を示した. 肝癌細胞を破壊するリンパ球は走査電顕で細胞表面に多数の microvilli を有していた. 以上より spontaneous lymphocyte mediated cytotoxicity を主としてとらえていると考えられた. 肝細胞癌患者末梢血T cell 分画は hepatoma cell line に対し細胞障害性を示さず, cytotoxic T lymphocyte は誘導されていない可能性が示唆された.

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