1979 年 76 巻 10 号 p. 1921-1928
83μ9/ml濃度のMNNGによるラット実験的腸上皮化生および実験的胃癌組織アルカリフォスファターゼ(ALP)アイソザイムの検出を行い,その酵素学的•免疫学的性質を検討した.胃粘膜ALPザイモグラムの検討できた13匹中10匹ではneuraminidase(N)感受性を有さず,抗ラット小腸ALP抗体と反応した.これは胃癌組織ALPをN処理後に認められる2本の活性帯(AおよびB)のうちの腸極側のB(Rf=32%)と同一の性質であり,小腸性ALPであつた.他の3匹ではN感受性を示し,抗体とは反応せず,胃癌組織中のA (Rf=19%)と同一の性質であり,非小腸性ALPであつた.胃癌組織ALP比活性値は周囲胃粘膜より100倍高値を示し,胃癌細胞はALPを産生している可能性が示唆された.