日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
大腸癌,大腸腺腫,潰瘍性大腸炎およびクローン病におけるHLA
樋渡 信夫菊地 孝夫正宗 研大内 栄悦渡辺 晃後藤 由夫
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1979 年 76 巻 11 号 p. 2153-2157

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抄録

大腸癌,大腸腺腫,炎症性腸疾患の素因,発症機序,予後についてHLAをマーカーとして検索し,次の結論を得た.(1) 対照と比較して大腸癌ではBw 35の増加(p<0.005),腺腫ではBw 40の増加(p<0.02),B5の減少(p<0.005),両疾患の比較では腺腫でB5の減少(p<0.05)を認めた.したがつてBw35が大腸癌の,Bw40が腺腫の発生因子に対する感受性を規定する遺伝子と連鎖している可能性が示唆される.(2) 潰瘍性大腸炎ではB5の増加(p<0.01),B7の減少(p<0.05)と,A3の相対危険率の高値(6.26)を認めた.しかるにこれを左側•全大腸炎群と直腸炎群に分けてみると前者ではB5が有意に増加していたが(p<0.005),後者では有意差はみられなかつた.(3) クローン病では1例のみにみられた.B27で有意差を認めた(p<0.001).

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