日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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76 巻, 11 号
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  • 樋渡 信夫, 菊地 孝夫, 正宗 研, 大内 栄悦, 渡辺 晃, 後藤 由夫
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2153-2157
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    大腸癌,大腸腺腫,炎症性腸疾患の素因,発症機序,予後についてHLAをマーカーとして検索し,次の結論を得た.(1) 対照と比較して大腸癌ではBw 35の増加(p<0.005),腺腫ではBw 40の増加(p<0.02),B5の減少(p<0.005),両疾患の比較では腺腫でB5の減少(p<0.05)を認めた.したがつてBw35が大腸癌の,Bw40が腺腫の発生因子に対する感受性を規定する遺伝子と連鎖している可能性が示唆される.(2) 潰瘍性大腸炎ではB5の増加(p<0.01),B7の減少(p<0.05)と,A3の相対危険率の高値(6.26)を認めた.しかるにこれを左側•全大腸炎群と直腸炎群に分けてみると前者ではB5が有意に増加していたが(p<0.005),後者では有意差はみられなかつた.(3) クローン病では1例のみにみられた.B27で有意差を認めた(p<0.001).
  • とくに摘除生検ならびに治療としての有用性について
    武藤 徹一郎, 上谷 潤二郎, 沢田 俊夫, 草間 悟, 池永 達雄, 山城 守也, 日野 恭徳, 山口 真司
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2158-2166
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    1972年11月から1978年11月までの7年間に194人から370個の大腸ポリープを内視鏡的に摘除し組織学的に検索した.腫瘍性ポリープが80%を占め,その中での癌化率は19.6%であつた.癌化率はポリープの大きさとともに漸増していたが,1cm以下で7.3%の癌化率を示していた.49個の早期癌が摘除されたが2例を除いて腺腫由来の証拠が認められ,1~2cm,無茎性,亜有茎性のものが多かつた.また,扁平腺腫,粘膜下浸潤癌の取り扱い方に対する我々の考えを述べ,ポリープ摘除後の患者の長期管理の重要性を指摘した.内視鏡的ポリペクトミーは摘除生検と同時に治療も完結する点が優れており,本法が大腸ポリープの治療のみならず,大腸癌の組織発生の解明にも役立つていることが示唆された.
  • 溝口 靖紘, 志波 孝, 東森 俊博, 北川 久能, 大西 文明, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2167-2177
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    薬物アレルギー性肝炎のうち肝内胆汁うつ滞を示す患者の末梢血リンパ球を培養し肝特異抗原存在下に起因薬物で刺激すると,培養液中に催胆汁うつ滞因子の存在することがラットを用いて証明しえた.またeffector T-cellの活性化によつて産生されたlymphokinesの一種,MAFでmacrophage(mφ)を活性化すると,この活性化mφは分離肝細胞のアルブミン合成を減少させ,肝細胞に障害を与えた.また肝細胞障害型の薬物アレルギー性肝炎患者の血清中には抗肝細胞膜抗体が存在し,K-cellを介して肝細胞を破壊することがADCCテストで認められた.以上により,本症では細胞性免疫(lymphokines,活性化Tリンパ球,活性化mφ)または体液性抗体を介する免疫学的機序によつて胆汁うつ滞や肝細胞障害が発生するものと考えられる.
  • 全国集計の成績から
    武内 重五郎, 奥平 雅彦, 高田 昭, 太田 康幸, 藤沢 洌, 伊藤 進, 辻井 正, 蓮村 靖
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2178-2185
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    わが国の肝疾患の病態の特徴を反映し,臨床的に広く使用できるようなアルコール性肝疾患(脂肪肝,肝炎,肝硬変,および肝障害)の診断基準案を提示した.次いで,近年のわが国におけるアルコール性肝疾患の実態を把握する目的で,1968年から1977年までの10年間を調査対象に,この基準に合致した症例を全国の病院内科94施設からアンケート方式によつて集め解析した.その結果,肝疾患による入院患者のすべての症例のうち,アルコール性肝疾患症例の占める割合が1968年の5.1%から1977年10.7%へと直線的に有意に増加したこと,さらに肝硬変の入院症例のうちアルコール性肝硬変の占める割合も有意な増加をみた結果,1977年には16.9%であつたことが判明した.この成績は,わが国でもアルコールに起因した肝疾患に充分注目する必要があることを示している.
  • 大槻 眞, 坂本 長逸, 大木 篤, 前田 光雄, 尤 芳才, 岡野 邦泰, 山崎 富生, 馬場 茂明
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2186-2193
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラットにおいて種々の濃度の塩酸を十二指腸内へ直接注入し,門脈血中セクレチン(IRS)濃度と膵外分泌反応を同時に測定し,合成セクレチン静脈内投与に対する反応と比較検討した.膵液,膵アミラーゼ分泌量並びに門脈血中IRS濃度は,単位時間当りの注入塩酸濃度と相関して増大した.合成セクレチン0.01から100μg/kgの静脈内投与に対して膵外分泌は塩酸注入時と同様の容量相関反応を示した.しかし門脈血中IRS濃度が等しくとも,外因性セクレチンに対する膵外分泌反応は,塩酸注入に対する反応よりも著明に低くかつた.このIRS濃度と膵外分泌反応の解離は,塩酸注入時には,IRS以外の膵外分泌刺激物質も同時に分泌されていることを示唆している.
  • 林 正作, 渡辺 明治, 十河 泰司, 東 俊宏, 小畑 尚宏, 長島 秀夫
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2194-2199
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝疾患例の血中アンモニア濃度を試験紙法(超微量拡散法)で測定し,微量拡散法(Seligson法),直接比色定量法や酵素法による測定値と比較した.これら4方法による血中アンモニア濃度は比較的よく一致した.試験紙法による測定値は,肝疾患例でみられる血液アミノ酸濃度変化の影響を受けにくい.従つて本法による血中アンモニア濃度の簡便測定法は,肝疾患例の高アンモニア血症の有無をベッドサイドや外来で迅速に知るために有用な検査法と思われる.
  • 特に食餌因子の影響について
    鈴木 彰
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2200-2213
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ラッテを低蛋白食(LP),標準食(ST),および高蛋白高脂肪食(HPF)で飼育し,各々が胆汁成分,実験的胆管拡張,および胆石生成におよぼす影響を検討した.その結果,胆汁成分のうちリン脂質濃度はLP群で有意に高く,本食餌群にコレステロール溶存能の上昇が認められた.又,総胆管壁に電気焼灼を加えると,LP群では80%と他群より有意に高い胆管拡張が発生し,本食餌群では胆汁うつ滞をきたし易い素地のあることが窺われた.更に低蛋白食と胆管狭窄により胆石の産生を認め,有石例では,いずれも著明な胆管炎を示した.以上より,胆管結石の成因には胆汁うつ滞と胆道感染が重要であるが,これらの誘因として低蛋白食の影響が少くないと考えられた.
  • とくに膵血流と膵外分泌反応の関連性について
    竹島 徹, 宮本 二郎
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2214-2223
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    交叉熱電対組織血流計を用いて,実験的にセクレチン,パンクレオザイミン,グルカゴンなどのホルモンを投与して膵血流と膵外分泌反応3因子の関連を検討し,次の結論を得た.(1)膵血流と膵外分泌量はセクレチンの投与量に対応して各々増加した.そして外分泌反応の変化には,血流変化が先行した.(2)膵血流と膵外分泌反応3因子は,上記ホルモン投与で見る限り,密接な相関を示した.すなわち膵血流は外分泌量ないし重炭酸塩排出量の影響を受けるとともに,酵素成分の影響を受けることが示され,膵血流は外分泌ないし重炭酸塩排出量の変化分とアミラーゼ排出量の変化分の和により規定されると推定された.
  • 山村 武平, 辰己 葵, 琴浦 義尚, 高橋 徳, 三浦 順郎, 石川 羊男, 伊藤 信義, 森 幸三郎, 田港 朝彦, 清野 裕
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2224-2231
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    健常人,慢性膵炎,膵全摘症例に対し,肉エキス負荷前後で新しい膵ホルモン,human Pancreatic polypeptide(HPP)の血中動態を測定した.健常人では負荷直後からHPPは著明に増加し,20分後には前値の4倍の頂値を示した.慢性膵炎では負荷後のHPPの増加は前値の1.5倍にすぎず,健常人に比し有意(P<0.02)に低反応であつた.膵全摘では負荷前後とも測定感度以下であつた.また同時に施行したP-S試験による膵外分泌能との比較では,負荷後のHPPの増加量と増加率が,膵アミラーゼ排出量,最高アミラーゼ濃度と有意(P<0.01)の正の相関を示した.これらの事から血中HPPの測定は慢性膵炎の診断,病態解明に有用であることが示唆された.
  • 膵癌と慢性膵炎の膵管像の類型化と鑑別診断
    小栗 剛, 春日井 達造, 久野 信義, 松浦 昭, 藤原 勝彦, 栗本 組子, 木戸 長一郎
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2232-2241
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    新鮮剖検膵の通常撮影(PMP)と直接4倍拡大撮影(PMPM)を16例について対比し拡大撮影では明確な読影所見を得て任意の部位の読影可能な膵管分枝の数が約2倍に増加した.ERCPとその直接4倍拡大撮影(ERCPM)を膵癌4例,慢性膵炎21例,正常1例からなる26例について対比した.良い造影を得た22例のERCPMはERCPより読影上有用で,3例では診断上も特に有用であつた.ERCPMにより2例の膵癌疑診を限局性膵炎とすることができた.大きな膵癌3例ではERCPMは有用でなく,小さな膵癌1例で有用であつた.膵癌,慢性膵炎の膵管像に特徴的な類型化が認められ,膵癌convex type,慢性膵炎はconcave typeであり,膵癌と慢性膵炎の鑑別に高い判別性が得られた.
  • 桑原 靖道
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2242-2251
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    合成peptideであるN-benzoy1-L-tyrosyl-P-aminobenzoic acid (BT-PABA)を用いた膵外分泌機能試験(PFD)の診断能を向上させる目的で,PFDにサスタジェンをテストミールとして併用し,基礎的ならびに臨床的にその有用性を検討した.
    膵切除ラットを用いた実験では,従来のPFDでは異常を示さなかつた70%膵切除ラットに於ても,テストミールを併用すれぼ有意に(P<0.02)その値が低下した.臨床的には,従来のPFDで異常値を示さなかつたPS試験2因子低下例でも,有意に(p<0.01)異常値を示すようになり,本試験が膵外分泌機能障害患者,特に軽症例のスクリーニングに有効な手段と思われる.
  • 天目 純生, 笠原 小五郎, 山下 裕一, 柏井 昭良, 森岡 恭彦, 葛谷 健, 坂本 美一, 友常 靖子, 小池 盛雄
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2252-2262
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    悪性化例1例を含む4例のインスリノーマにおいて,インスリン分泌動態と腫瘍組織中IRI濃度ならびに形態学的所見の対比を行つた.インスリン基礎分泌が低く,各種刺激によるインスリン追加分泌が亢進していた1例では,腫瘍組織中IRI濃度が高く,電顕像で定型的β粒が認められた.またインスリン基礎分泌が亢進していた2例では,インスリン追加分泌は,1例は高反応を,もう1例は低反応を示した.しかし2例とも腫瘍組織中IRI濃度は低く,また電顕豫でも非定型的穎粒を認めた.一方,インスリン基礎分泌が亢進し,インスリン分泌刺激には反応しなかつた1例では,腫瘍組織中IRI濃度は高値を示し,定型的β穎粒がみられた.
  • 西村 秀男, 早川 幹夫, 小田 原満, 河原 清博, 天野 秀雄, 木藤 信之, 竹内 憲, 野村 幸治, 井上 昌光, 原田 俊則, 竹 ...
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2263-2266
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 植木 重文, 岡本 英三, 豊坂 昭弘, 大室 儁, 下山 孝, 里見 匡迫, 堀 信治, 筋師 満
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2267-2272
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 川本 充, 三島 致衍, 城間 盛光, 今西 建夫, 田中 義人, 藤岡 利生, 牧山 和也, 中口 規彦, 原田 嘉文, 原 耕平, 中村 ...
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2273-2278
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 酒井 浩徳, 船越 顕博, 木村 寿成, 若杉 英之, 井林 博
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2279-2285
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • とくにその発生機序と発生頻度についての検討
    宮坂 京子, 岡本 真郎, 林 正孝, 久山 泰, 岡田 弘, 古川 義之, 桃井 宏直
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2286-2291
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    A 27-year old woman with SLE was admitted to the hospital because of diarrhea, abdominal pain and vomiting. The laboratory data reveald marked proteinuria, but wirum amylase and cholesterol were normal.
    She was diagnosed SLE in 1973 and she has taken predonisolone, 10-60mg/day. A month before admission, the patient was seen in the clinic and examination revealed complement decreasing, while she was taking predonisolone, 10mg/day.
    On the third hospital day, predonisolone was increased to 50mg/day because of considering exacerbation of SLE, so the next day, abdominal pain was diminished.
    On the 13th hospital day, hyperamylasemia and amylasuria were appeared, and on the amylase isozyme pattern, 85% of total serum amylase was pancreatic type. Asymptomatic hyperamylasemia continued 31 days. Her pancreozymin-secretin test and ERCP were normal.
    We examined 22 cases of SLE, we saw three similar cases (involving this case). (13.6%) We considered the cause of hyperamylasemia was by predonisolone, but the incidence of pancreatic type hyperamylasemia was independent on duration or dose of predonisolone.
  • 鎌田 武信, 佐藤 信紘, 中川 彰史, 川野 淳
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2292
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 藤本 茂, 宮崎 勝, 南 智仁, 石紳 博昭, 伊藤 健次郎
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2293
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 山本 祐夫, 門奈 丈之, 奥田 清, 任 太性, 原 達雄, 海藤 勇, 佐藤 俊一, 鈴木 一幸, 田中 盛太郎, 阿部 裕行, 工藤 ...
    1979 年 76 巻 11 号 p. 2294
    発行日: 1979/11/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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