日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
実験胃潰瘍発生における凝固•線溶•Kinin系の動態
吉田 誠大塚 幸雄
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1979 年 76 巻 12 号 p. 2365-2375

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抄録

旨:雑種成犬を麻酔下で開腹して,漿膜接着冷凍による,潰瘍発生時の線溶•凝固•キニン系の病態生理の変化と病変部の微細血管構築の変化とを比較検討した.
胃粘膜下層の微小血管網に循環不全を生じさせて発生した潰瘍の組織plasminogen activatorは初期で潰瘍部•遠位正常部共に高度遊離したが,潰瘍部は以後大きな動態を示さず,潰瘍周堤部および遠位正常部は2次性の反応動態を示した.潰瘍発生に伴う組織損傷は組織中のkinin系の遊離を生じ,microangiograrnによる形態面でも粘膜下層の微細管構築の異常拡張と透過性の充進を示し,同時に凝固第V,VIII因子にも明らかな影響を与えた.開腹手術による影響は血小板•fibrinogen等の一過性の変化のみであつた.潰瘍発生時の線溶•凝固•キニン系の動的変化は形態的変化と関連を有する結果を得た.

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